オランジュリー美術館
ナポレオン3世の依頼でチュイルリー公園のセーヌ川沿いの一角に建設されたもので、もともとは冬の間、チュイルリー宮殿(現存していません)のオレンジの木を冬の間避難させるためのものでした。当時話題になったのはその建築のスピードでした。フィルマン・ブルジョワとリュドヴィコ・ヴィスコンティ、2人の連係プレーで1852年にわずか4か月の工期で完成しました。
ナポレオン3世が失脚した翌年の1871年、チュイルリー宮が火事になり、オランジュリーは国有化されます。当時はオレンジの木を保管すると同時に園芸、音楽、芸術関係の催し、パーティー、コンクール、犬の品評会等、様々なイベント会場としても活用されました。1922年、オランジュリーは美術館として生まれ変わります。
一番最近のお色直しは2000年から2006年にかけて、建築家オリヴィエ・ブロシェによるものです。2層になっていた内部は、自然光を取り入れるため吹き抜けになりました。工事の途中、内部に「黄色の堀」と呼ばれるチュイルリー宮防衛のため1566年に建設された堀の遺構が見つかり、計画は大きく変更されました。
が、そもそもの用途である温室としての体裁が復活。南面のセーヌ川側は太陽の光を取り入れるためガラス張りになり、対するリヴォリ通り側は北風を遮るためほとんど壁です。
クロード・モネの睡蓮は展示作品の中でも珠玉です。
高さ2メートル、幅の合計は91mにもなる巨大な睡蓮の連作8枚は、隣りあわせの楕円形の展示室に分かれて収められています。この2室は上から見ると∞の形をしています。見る者をやさしさで包み込むことができたらと考えた画家の意向を尊重したもので、ガラスを通して届く自然光が時間と共に絵の表情にも影響していきます。
オランジュリー美術館では、その他にもポール・セザンヌ、アンリ・マチス、パブロ・ピカソ、ピエール・オーギュスト・ルノワール、アメデオ・モジリアニ、アンリ・ルソー、アンドレ・ドラン、シャイム・スーティン、マリー・ローランサン、モーリス・ユトリロ、ポール・ゴーギャン、アルフレッド・シスレー、キース・ヴァン・ドンゲンなどの印象派絵画も観賞することができます。
外に出れば、ロダン、ヘンリー・ムーア、アントワーヌ・ルイ・バリーの彫刻がそこここにさりげなく展示されています。
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