チュイルリー公園
25ヘクタールもの広さを誇るチュイルリー公園は、パリの空気をたっぷり吸いこみながらの散歩やジョギングに最適です。
公園の名前のチュイリルーは瓦屋のこと。ちなみにお菓子のチュイルは瓦のこと。1564年、王妃カトリーヌ・ド・メディシスが瓦工房のあった場所に宮殿を作らせました。これがパレ・デ・チュイルリーと呼ばれ、王家とその後の皇帝一家の住居として使われました。が今は建物は残っていません。
現存している庭の設計は、ヴェルサイユ宮殿の庭で有名なアンドレ・ル・ノートルです。完成当初は大臣のひとりコルベールが民衆に踏み荒らされるのを心配したため、その美しさを愛でることができたのは王家の人々のみ。一般には公開されていませんでした。が「眠れる森の美女」の作家シャルル・ペローの説得で、民衆にも開放されることになりました。私たちが目にする今の庭は、1664年当時のデザインとあまり変化はないそうです。
チュイルリー公園はルーヴル美術館とコンコルド広場の間にあり、パリの人々、そして世界中から訪れる観光客に憩いの場を提供しています。野外美術館としても見る価値があり、たとえばマイヨール、ヘンリー・ムーア、ロダン、ジャコメッティなどの彫刻がさりげなく配置されています。バッサンと呼ばれる池は、水辺の憩いを提供しています。ジョギングや散策の途中でベンチに腰を下ろして水遊びをする子供たちを眺めれば、フォトジェニックなパリの日常シーンに紛れ込んだ気分です。
チュイルリー公園は四辺をルーヴル、リヴォリ通り、コンコルド広場、セーヌ川に囲まれています。コンコルド広場に沿う一辺の両サイドに、同じデザインの二つの建物があります。一つはコンテンポラリーアートの美術館ジュ・ド・ポーム(リヴォリ通り側)。もうひとつはモネのスイレンの連作を常設展示しているオランジュリー(セーヌ川側)です。
このあたりから西に目を向ければ、コンコルド広場、シャンゼリゼ通り、凱旋門を経てデファンスの新凱旋門まで一直線上に見通せます。特に凱旋門に沈む夏の夕日は多くのにわかカメラマンに人気の被写体です。毎年6月初めのランデヴー・オ・ジャルダンや10月開催の国際コンテンポラリーアートフェア(FIAC)など、イベントが開催されるともあります。